超高層ビル 耐震基準見直しへ

超高層ビル 耐震基準見直しへ

東日本大震災では、ゆっくりとした周期の揺れ「長周期地震動」で、各地の超高層ビルが長い時間、大きく揺れたことを受けて、国土交通省は、すでにまとめていた超高層ビルの耐震基準を見直し、複数の巨大地震が連動して起きた場合を想定して基準を作ることを決めました。 「長周期地震動」は、数秒以上の周期で繰り返すゆっくりとした地震の揺れで、国土交通省は、去年3月の巨大地震が起きる前は、20階建て程度、高さ60メートルを超える超高層ビルは、およそ8分間続く長周期の揺れに耐えられることなどを耐震基準にする方針でした。

しかし、去年3月の地震では、東京や大阪の50階を超える超高層ビルが10分以上にわたって最大で3メートル揺れたため、国土交通省は、検討していた耐震基準を大幅に見直すことを決めました。 この中では、1つの地震の揺れだけでなく、東海・東南海・南海地震などの巨大地震が連動して起きた場合を想定し、来月以降、内閣府がまとめる連動地震で予想される各地の揺れの強さを基に基準を検討するということです。

一方、日本建築学会によりますと、すでに建っているおよそ2500の超高層ビルのうち、1100棟は長周期地震動で揺れやすい構造だということで、国土交通省は、これらのビルも新しい耐震基準で調査してもらい、必要な場合は補強するよう求める方針です。 長周期地震動に詳しい東京理科大学の北村春幸教授は「東日本大震災で長周期地震動のデータがいろいろ取れているので、それを使ってこれまでの検討を検証して改善を図ることが必要だ。また、東海、東南海、南海の3連動地震の研究が進んでいるので、その成果を盛り込んで超高層ビルがどういう状況になるかを検討すべきだ。やはり10分くらいは揺れ続けるような地震動を想定せざるをえないと思う」と話しています。

出典:NHK NEWS WEB

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