構造設計者の日々の出来事

横浜の構造設計事務所 B-architect オフィシャルブログ


障害の多い耐震改修

 昨年後半5000㎡以上のすべての建物に対して耐震診断が法によって義務付けられると決まった。昨年4月の東京都の緊急輸送道路の耐震義務化の条例に続き、耐震の重要性を重視した流れと思われる。その他、新聞を読んでいるとしばしば耐震化率などという言葉をしばしば見かける。やはり震災後耐震に関しては、国を始め多くの一般の人までその重要性を認識しているのだろう。

 そんなわけで、弊社にも多くの耐震診断の依頼が来ている。もちろん予算があれば必要に応じて耐震補強を行うという前提のもとである。補強設計というものはたいていの建物でできる場合が多い。あまりに建物が劣化していたりバランスが悪かったりしなければ・・・。
ただ、補強の前提として、補強したい個所に有効な補強ができるという前提がある。そして、これが実際の場合大抵障害となる。まず開口を壁に変えると、強度型の建物ではバランスの問題はあるが耐震性能が大幅に改善される場合が多いが、建物の用途・外観を損なうからと反対されるケースが多い。これは鉄骨でブレースを作っても同じである。また共同住宅の場合で多いのが、現在住んでいる方の居室内はいじらないで(補強しないで)ほしいとの要望、これもまた気持ちはわかるのだが、大概その位置に耐震補強の重要なポイントがある場合が多い。そんなこんなで計画は中止となったり、また費用がかかり効率の悪い(と構造設計者からは見える)方向に行くこともしばしばである。というよりほとんどが何かしらの制約を受ける。
 われわれ構造設計者のやくめとしては耐震指標を上げるだけでなく、オーナーや居住者を説得できる、すなわちプレゼンのできる補強設計をしなければいけないと強く感じる今日この頃である。

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変化に対応する必要がある最近の構造設計



オリンピックもあっという間に終わってしまいました。今回は多忙なため、結果だけ見ようとしていましたが、なんだかんだ言って連日連夜、見てしまいました。それは4年に1度という響きと選手の真剣さが伝わってくるからでしょうか。

さて、自分は構造設計を初めて17年ほどになりますが、その間に自分が新人だった頃に習った設計の進め方、部材の決め方、図面の書き方等が通用しないことがかなり多くなっています。それは、建築材料の技術進歩(コンクリートなどはその最たる例かと思いますが…。)やお客様の受注方法が変わっているからでしょう。ハウスメーカー→意匠設計事務所→構造設計事務所という仕事の流れが最近多く見られますが、サラリーマン時代は少なかったというよりほとんど記憶にありません。他にも狭小敷地が増えたり、斜線に沿って外壁を配置する計画をしたり、杭を業者が設計する場合も増えたりと挙げればきりがない感じもします。

そうした場合に問題になるのは設計するこちらの仕事に対する姿勢です。ご依頼頂いている案件の中には、構造的にはあまり好ましくない方向に進んでいると思われる場合が多々あります。そのような場合は構造設計者は技術職であると同時にサービス業であるということを念頭に置かなければいけません。常に営業を行っている自分とは温度差があるようです。構造設計というものは力学的に最善のものが何かを常に追求する姿勢が大切です。もしろん、それと同時にお客様が何を望んでいるのか、それが自分の学んだ基本とは違った場合絶対に駄目なものなのか、できるだけ柔軟な考えで取り組む必要性もあります。お客様も従来のものや、一般的に基本的なことを外して依頼してくるのには訳があるはずなのでそれを考慮して設計にあたるべきなのです。そのなかで、力学的特性、費用、工期、施工性等を総合的に判断して、その物件ごとに最善と思われるものを設計します。それがわれわれ構造設計者の役割ではないかと考えています。

変化に最も対応できるものが生き残るという説がありますが、的を得た表現で変化の激しい現在において常に考えなければならないことでしょう。

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地下部分を利用した首都圏の個人住宅の設計

地下の設計

以前にも書きましたが、そろそろ東日本大震災の被害状況より、構造規定の変更の情報があってもおかしくないのですが、自分のもとにはまだ入ってきていません。
自分の情報網が弱いのか、被害が甚大すぎて本当に指針が出ていないのか、詳細は不明ですが気になっています。

そんな中でも実務設計のお仕事はどんどん来るわけですが、最近顕著に目立つのが混構造建築物、なかでも地下室を造る物件が弊社に大変多く引き合いが来ることです。
もう東京・横浜は建築できる地上の土地が少ないので、地下の部分を使用するのはわかりますが、困っているのは、地下室の設計が簡単に出来ると思っているお客様が多いこと。
混構造の場合、上部構造との取り合い、土圧の考え方等難しいものが多く、見積もりを出すと地下部分設計料が高いといわれることが多々あります。
これには正直、少し寂しい気がします。
そういう物件に限って特に構造計画が難しい(というより構造的に無理がある)物件が多いため、困ってしまいます。

このブログでも再三書きましたが、土圧の考え方は大変難しく、難易度が高いものも多数あります。
そのような構造設計をさっとできると思っているお客様が少なからずいるのは残念なのです。
ただ、これも世の中の流れとして会社としてはプロとしては出来るだけ期待に答えなければならないとも思う今日この頃です。

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